コラム

物損事故から人身事故へ切り替える方法とは?

こんにちは
管理人のなおちんです。

私は某自動車保険の初期対応班で働いています。

私が対応する事故の多くは契約者が加害者の事故です。

 

契約者と話をしていてよく聞かれる事の中に

『物損事故から人身事故に切り替えると罰金はいくらなのか?』
『物損事故から人身事故に切り替わったら違反点数は何点?』
『できれば物損事故で処理したい…』

というなんとも自分本位な質問が結構あります(笑)

 

今回は

・物損事故から人身事故に切り替えるとどうなるのか?
・物損事故から人身事故に切り替える方法

についてご紹介します。

 

目次

物損事故と人身事故の違いとは?

はじめに物損事故と人身事故の違いについて理解しておきましょう。

 

物損事故とは物(車やその他の物)に損害が出で死傷者がいない事故になります。

この場合は物損事故の扱いとして”物件事故報告書”が作成されます。

この物件事故報告書は「警察で事故を受け付けましたよ」という書類になります。

 

対して人身事故は交通事故でけが人や死傷者が出た場合になり、人身事故の場合は”実況見分調書”が作成され、当事者立ち会いのもと事故の状況の詳細を記録します。

被害の大きさによってはこの実況見分に時間がかかるので、人身事故へ切り替えるのを嫌がる人もいますが、被害者の場合はできれば人身事故に切り替えることをおすすめします。

 

物損事故と人身事故の違い

【物損事故】 車や物だけに賠償が発生する事故

【人身事故】 ケガ人(死者)がいる事故

ということになります。

 

物損事故から人身事故に切り替えるとどうなるの?

物損事故から人身事故に切り替えると、慰謝料や治療費、休業損害など事故が原因で被った損害を賠償する項目が多くなる事がありますので、損害賠償額が大きくなる事があります。

 

ひとことで説明すると

【もらえる慰謝料が増える可能性がある】

という事ですね。

 

物損事故から人身事故に切り替えることはよくある事。

交通事故の場合、現場で痛みなどがなくてもしばらく時間が経ってから痛みが出てくる事があります。

一般的には”ケガがなくても事故後48時間程度は様子を見た方がいい”とされています。

 

これもよくある事で、現場で被害者にケガがなくても、自宅に帰って緊張がほぐれたタイミングで痛みや違和感が出てきたという人もたくさんいます。

 

ですので、被害者が後日病院に行くというケースは比較的多く、最初は物損事故扱いだったものが後日人身事故に切り替わるということも当然発生するのです。

 

物損事故から人身事故に切り替えるための方法

事故が起こった時、警察の人が現場に来て物損事故の手続きを行いますが、大体の警察官は「後日ケガの症状が出たら人身事故に切り替える事ができます」と案内されます(多分)。

 

では具体的に物損事故から人身事故に切り替えるにはどのような流れになるのかを説明します。

1、まずは病院で診断書をもらいましょう。

事故後怪我の症状が出たら病院で診てもらい、医師から診断書を発行してもらいます。

人身事故に切り替えるための診断書は”事故と怪我の因果関係を証明できる内容”でなければなりません。

 

ちなみに人身事故に切り替えるために必要な診断書の発行費用(基本1枚分)は保険で対応できますので、領収書も一緒に発行してもらいましょう。

  • 救急外来で受診した場合は診断書が発行できない場合が多いので、その場合は後日発行してもらいましょう。
  • 事故後の病院受診は医師免許のある病院をまずは受診しましょう。
    (よく「かかりつけの整体サロンで診てもらう」という人がいますが、整体などで治療した場合、診断書が出ません。)

 

2、診断書を管轄地域の警察署へ提出

病院で診断書を発行したもらったら、警察へ診断書を提出します。

 

警察署に診断書を提出したタイミングで物損事故から人身事故に切り替わります。

 

  • 提出期限はありませんが、日があいてしまうと事故との因果関係を証明しにくくなりますので目安としては1週間以内がベストです。
  • 診断書を提出する前には事前に警察署に連絡をして日程を決めましょう。
    (突然行っても担当が不在の場合があります)

 

物損事故から人身事故に切り替わると場合によっては再度当事者が現場に集まって実況見分調書が作成されます。

 

補足:物損事故のままでも保険対応は可能

被害者の方の多くが

「ケガの補償をしてもらうには人身事故に切り替えないといけない」

と思っているようですが、人身事故に切り替えなくても対人保険は使うことができます。

 

さらに補足ですが、車を所有している人は自賠責保険に必ず加入しなければいけません。

この自賠責保険とは相手にケガをさせてしまった際に使う保険で、相手のケガの治療費に関しては最大120万円まで自賠責保険でまかなうことができます。

 

任意保険の対人保険は、治療費が自賠責保険の120万円を超えてしまった時に使う保険になります。

 

なので、むち打ちなどで半年ほど通院することになってもほぼ間違いなく自賠責保険で賠償できますし、人身事故に切り替えなくても自賠責保険も対人保険も使えるのです。

 

今回のまとめ

・人身事故は死傷者がでた場合の事故。

・物損事故から人身事故に切り替えるには診断書を警察に提出すればOK

・物損事故のままでも保険を使ってケガの補償はできる。

以上のポイントをおさえておけば大丈夫です。